「だけど、授業に出てなかったことを知っているってことは、同じクラスの人だよなぁ。」


不思議に思いながら、由佳はノートを見つめる。
それにしても本当にきっちりと取られたノートだ。
由佳も結構真面目にノートを取るほうだったが、それ以上かもしれない。


「まぁ、ありがたいっちゃありがたいか。」


そう呟いて、由佳は鞄の中に謎の人物からもらったノートのコピーをしまった。
誰かが何かを企んでいるにせよ、ノートのコピーを貰えることはありがたい。
授業で何をやったかが分かれば、テストの勉強にも困らない。



「おい、おせぇぞ。」


由佳がやっとのことで靴を履いて玄関に向かおうとした時、聞き覚えのある声が聞こえた。



そこには腕を組んで玄関のドアにもたれかかる、薫の姿があった。



「小野寺薫!なんであんた起こしてくれなかったの!?」


由佳は薫の顔を見るなり、薫に噛みついた。


「なんでって、ちょっといじめてやろうと思って。」


意地悪そうにそう言う薫に腹が立って由佳は何か言い返そうとしたが、またくだらない言い合いになるだけだと思い、ぐっと言葉を飲み込んだ。