「俺はお前に興味が沸いた。お前の死んだ瞳の奥底にある何かを掴みたいと思った。ほんの好奇心でね。」
「……。」
「だけどお前と直接コンタクトを取ろうとするとどうだ?俺がお前と関わっていることが知られたら、面倒なことになる可能性が高い。だから俺は間接的にお前と関わることにした。」
「……。」
「方法は簡単だった。奈津子に鞄を隠すように提案したのは俺。もちろん奈津子はお前を困らせるためなら喜んでその提案を受け入れた。増してや愛しい俺からの頼みごとだ、断るはずがない。」
「…あんたってやっぱり最低な奴だね。」
「待て待て、最後まで話を聞けよ。お前は鞄が独りでに歩いてお前のもとに戻って行ったとでも思うのか?俺はちゃんとお前のもとに返した。ついでに優しい俺は上履きの隠し場所も女子たちからさり気なく聞き出してちゃんと戻してやったよ。ただし、番号だけは控えさせてもらったけどね。」
「…それもどうかと思うけど。」
由佳の言葉を無視して、薫は続ける。
「そして俺は”ケイ”という人物になりきり、お前と間接的にコンタクトを取ることに成功した。」
「……。」
由佳はケイと初めて話した日のことを思い出した。
今薫が話していることは、あの日由佳の周りで起きた不思議な出来事全てと辻褄が合った。