由佳の足に鈍い痛みが走った。
身体中が痛い。

由佳は地面に倒れながら、うっすらと目を開いた。


生きてる――…。


激しい雨に打たれながら、混濁する意識の中で由佳は真っ先にそう思った。

だが由佳が立ち上がろうとしても、足は言うことを聞いてくれない。
どうやら滑落した時に、足を痛めてしまったらしい。


最悪だ――…。


由佳はそう思いながら、暫くその体勢のまま雨に打たれていた。
雷鳴がどんどん近付いてくるのが分かる。
雨は一向に弱まる気配を見せず、激しさを増すばかりだ。

由佳は自分の身体がひどく冷え込んでいくのが分かった。
そして意識はどんどん朦朧としていった。


私、このまま死ぬのかな――…。


朦朧とする意識の中で、由佳は思った。


林間学校の登山で遭難して死ぬなんて、笑い者かも――…。


遠くで誰かが由佳の名前を呼ぶ声が聞こえるような気がした。


ついに幻聴まで聞こえ始めた…。私を呼ぶのは誰―…?