由佳は急いで立ち上がると、小走りで険しい山道を進んだ。
早く頂上に着かなければ、このままだと雨に降られて全身びしょ濡れになってしまう。
生憎由佳は雨具を忘れてきた。
だけど由佳はどこに行けばいいのかもはや分からなくなっていた。
この時由佳は自分が軽く遭難してしまったことに気付いた。
雨は暫くしないうちにものすごい勢いで降り出した。
最悪だ。
由佳はとにかく雨をしのげる場所がないか、険しい山道を小走りでかき分けながら探した。
その時、今までにないぐらいの激しい眩暈が由佳を襲った。
あ――…。
由佳がバランスを崩し、そう思った時にはもう遅かった。
そこには傾斜の激しい地面があった。
あまりにも走ることに夢中になっていたために、由佳は注意して下を見ていなかった。
由佳は山肌をものすごい勢いで滑落した。