「あの、笠原さん。私体力なくって…少し疲れてしまいました。」

ある分かれ道の前に来た時に、華代はそう言ってはぁはぁと息を切らしながら立ち止まった。


「少し、休憩しようか?」


由佳が尋ねると、華代はぶんぶんと首を横に振った。


「笠原さんは、先に進んでてください。私はあとで追いつきますから。」

「無理しなくていいよ?私、待つよ。」


由佳はそう言ったが、華代は頑なに遠慮した。
そこまで言うのなら、と由佳は華代を置いて1人で先に進むことにした。

華代は手渡された地図を見ながら言う。


「えっと、この道を右にまっすぐ進むみたいです。」

「そっか。ありがとう。」


由佳は華代に礼を言うと、「また後で。」と言い残し、1人で先に進んだ。

後ろを振り返ると、華代がしんどそうに地面に座り込んでいた。
少し心配になったが、「大丈夫です。」と華代が手を振るので、由佳はその言葉を信じてそのまま先に進んだ。