山登りの班分けは、由佳には地獄だった。

出席番号順に分けられたそのメンバーは、由佳にとっては偶然とは思えないぐらいの苦痛なメンバーだった。


「1班、遠藤奈津子、小野寺薫、笠原由佳、木村華代、桐島和也。」


担任の渡辺先生がそう名前を呼ぶと、班のメンバーは集まった。

不幸なことにも、由佳が関わりたくない人物トップ3が同じ班に居る。
由佳は心の中で神様を恨んだ。


「なんかうざいの1人いるけど、薫と同じ班ならなんでもいい~。」


そう言って奈津子は薫の腕に抱き着く。


「待て待て。俺もいるぞー!」

「あんたはどうでもいい。」

「そんなぁ、奈津子ちゃんったらひど~い。」

「お前ら、うるさい。」


そう言い合う奈津子、桐島、薫を横目にして、1人の女の子が由佳に話しかけてくる。


「あの…っ。私、木村華代って言います。よろしくお願いしますね…!」


木村華代と名乗ったとても大人しそうなその女の子は、そう言って恥ずかしそうに俯いた。