「いつもの無表情のあんたも気持ち悪いけど、人間みたいなあんたはもっと気持ち悪いわね。」

「……。」

「私、暫く帰らないから。家のこと頼むよ。」

「…うん。」

「あとこれ、今月の生活費。」


礼子はそう言って、茶封筒を机の上にぽいっと置いた。
そしてシャワーだけ浴びると、また派手な化粧と派手な服装で家を出ていった。
一体いつ寝てるんだろう、と由佳は疑問に思いながら、先程の礼子の言葉を思い出す。


「人間みたい、か…。」


由佳は思わずふっと笑った。
それは自分に対する軽蔑の笑いだった。


「馬鹿じゃないの、私。」


由佳は天井を見上げて、そう呟いた。