「あれ、あんた学校は?」


リビングに入って来た母の礼子は、ソファの上で横になっている由佳を見るとそう言った。

派手な服装、セットされた巻き髪、派手なメイク、香水の香り。
地味な由佳とは正反対の見た目で、誰も2人が親子だなんて思わないだろう。

礼子と会うのは久々だ。
だけど久々の再会にも、お互い何の感動もなく無頓着だ。


「体調が悪かったから休んだ。」

由佳はそう言った。
すると礼子は、興味がなさそうに「ふーん。」と答えた。

およそ1か月ぶりに交わす会話は、ずいぶんと素っ気ない。


「何、失恋でもしたの。」


礼子は煙草に火をつけながら、由佳に尋ねる。

「どうしてそうなるの。」

由佳がそう言うと、礼子は煙草の煙を天井に向かってふーっと吐き出しながら答えた。


「なんか、珍しく人間みたいな顔してるから。」

「何それ。」

由佳は嘲笑うようにそう言って、寝返りをうった。
すると礼子は言う。