由佳はまた恭平と2人きりになった。
由佳は状況が理解できなかった。
だがこの部屋の外で何かが起こっているということだけは分かった。
「由佳、怖い思いをさせてごめんね。」
恭平は由佳の頭を撫でながらそう言った。
「大事な由佳を傷付けたりはしないよ。だけどちょっとの間我慢してくれるかな。」
恭平は扉の方向を見据えながらそう言って、ポケットから何かを出した。
そしてそれを由佳の首に突きつけた。
「……っ!」
由佳は硬直した。
恭平が由佳の首元に突き付けているのは、鋭利なナイフだった。
「大人しくしててね。そうじゃないと間違って殺しちゃったら困るから。」
由佳は恐怖で体が動かなかった。