「…あいつは来ないよ。僕がそのように仕向けたからね。」
恭平は半笑いでそう言う。
「…?どういうこと?」
「由佳…もしあいつが僕以上に危険な存在だと言ったら、君は信じる?」
由佳は恭平の言っている意味がよく分からなかった。
「意味が分からない。」
「あいつは僕たちの世界じゃ有名な厄介者だよ。あいつが起こした暴力沙汰は数知れず。」
「…小野寺薫が?そんなわけないじゃない。」
「由佳、君は平和な子だね。僕は君を守ってあげたいだけなのに。」
恭平は由佳の太ももに手を這わせながら続けた。
由佳の体がびくんと反応する。
「由佳、そもそも僕が何で君の前に突然現れたと思う?君を、君にまとわりついてる変な害虫から引き離すためだ。」
「……。」
「木村とか言う女はバカだったね。僕が近付けば一瞬で心を許した。計画通りも良いとこだった。」
「……!」