由佳の目の前には、ソファに足を組んで座りながら細く笑む、恭平の姿があった。
「ここはどこ?」
由佳が訝しげに尋ねると、恭平は答える。
「アジトみたいなものかな。」
「…アジト?」
状況が理解できないまま由佳がそう尋ねると、恭平はソファから立ち上がり、由佳のほうに歩いてくる。
「葵は僕の命令で動いただけだよ。」
「…どういうこと?」
「笠原由佳を騙してここにおびき寄せろ、ってね。」
「…っ!」
「ここは僕の統轄するアジトだから。」
恭平は由佳の目の前まで来ると、膝をついて由佳に視線を合わせた。
「…何のつもり。」
由佳は恭平の目を睨みながら呟いた。
「由佳、僕と永遠にここで暮らそう。」