「じゃ、放課後ね!」と言い残して教室を去っていく葵。
由佳はその後ろ姿をポカーンと眺めていた。
するとその時、由佳のすぐ後ろで誰かの咳払いが聞こえて由佳は後ろを振り返った。
「木村はお前のせいで悲しんでるっつーのに、お前は他の男子とデートかよ。」
薫はそう言って冷たい眼差しで由佳を見下ろした。
「……。」
黙って華代のほうに目をやると、華代は今にも泣きそうな表情で机をじっと見つめている。
「……ごめん。」
由佳は俯いた。
「2人には悪いと思ってる…。だけど全部なかったことにしてほしい。」
「…何だそれ。自分勝手にも程があるな。」
薫は鼻で笑いながらそう言った。
「ごめん…」
由佳はそう呟くしかなかった。