「えっと…その…」
由佳が困惑していると、葵が残念そうに言う。
「えー、もしかして空いてない?ショックだなー。スイーツ天国に行こうと思ったのに…もちろん俺の奢りで!」
その言葉に由佳の眼差しが変わった。
スイーツ天国とは、最近流行りのスイーツ食べ放題の店だ。
色んな種類のスイーツを、好きなだけ食べられる夢のような場所だ。
由佳はずっと行きたいと思っていたが、なかなか行けずに居た。
「…行く。」
由佳は呟いた。
すると葵は「マジ?よっしゃ!」と嬉しそうにガッツポーズをする。
どうせクラスの女子からは嫌われているのだ。
今更気を使う必要はない。
それに教科書を貸したお礼だ。
それ以上も以下もないのだ。
由佳は自分にそう言い聞かせた。