「ありがと!超助かった!」
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、とびきりの笑顔でそう言う葵に、由佳は「どういたしまして。」と小さく呟いた。
見た目が結構派手なタイプだったので由佳は少し敬遠しがちだったが、意外と悪い人じゃないのかもしれない、と由佳は思った。
「俺、借り作るの嫌だから何かお礼させて!」
突然発された葵のその一言に、由佳は耳を疑った。
「え?」
「今日の放課後空いてる!?」
大きな声でそう尋ねる葵に、クラスの女子たちが由佳のほうをみてヒソヒソと話し始めた。
「薫くんの次は葵くん?」
「何であんな女が…」
「ムカつく。」
聞こえていないつもりなのだろうか、その言葉たちはしっかりと由佳の耳に届く。