「触らないで!」


由佳はその手を思い切り振り払った。


「今更遅い。」

「……。」

「もう私は恭ちゃんのことなんてこれっぽっちも好きじゃない。」

「……。」

「いつまでも子供じゃないの。」


由佳は冷たくそう言い放つと、恭平の横を通り過ぎて空き教室から去っていく。


恭平はそんな由佳の背中を黙って見つめていた。


「由佳…」


恭平は1人、誰も居ない教室で呟いた。


「僕は君を守るためなら、悪者にだってなれるよ…。」