「君は何もかも悟った顔をして正義を振りかざしているつもりでいるけど、それはただの感情論でしかないことに気付いていない。」

「…てめぇに何が分かる。」

「分かるよ。君は昔の僕にとても似ているから。」

「……。」

「僕は君が大嫌いだ。何故なら君が昔の大嫌いな僕にそっくりだからだ。」

「何が言いたいんだよ。」


薫が恭平を睨み付けながらそう言うと、恭平は答える。


「僕はただ由佳を守りたいだけなんだ。」

「だけどてめぇは今、笠原を傷付けてる。てめぇのせいでだ。」


薫の言葉に、恭平はふっと笑って呟いた。


「小野寺くん、分かってないね。傷付けることで守られることだってあるんだよ。」