「今はここに由佳と僕の2人きり。男と女、力では圧倒的に男の方が上だ。」

「やめて!離して!」


恭平の腕の中で由佳はじたばた暴れたが、その抵抗も虚しく、恭平の力に圧倒されて離れることができない。


「誰か!助けて!」

「ひどいな、由佳…。あんなに僕のことが大好きだったくせに。」


その時、恭平の一瞬腕の力が弱くなり、由佳は腕の中から抜け出したかと思った。


だがその次に起こった予想外の出来事に、由佳は抵抗することも忘れ、ただ硬直した。


「んっ…」


一瞬、何が起きたか分からなかった。

由佳の唇に何か柔らかいものが触れていた。


目の前には、目を閉じる恭平の綺麗な顔。



由佳の唇に触れるものが恭平の唇だと分かるまでに、随分と時間がかかった。