キミだけ、いればいい。

家に帰るとすぐ、家族が出迎えた。
「お、帰ってきたか」
「着替えてきな。ご飯だよ」
「お姉ちゃん、おかえりー」
「ただいま」
呑気でのんびりした父と、
気が強くてクールな母と、
甘えん坊の可愛い妹。
我が家は今日も賑やかだ。
「瞳。ばあちゃんが野菜をたくさんくれたんだ」
「野菜？」
「畑のな。多く実りすぎたんだと。そーいうわけだから、今日は野菜鍋だ」
野菜が詰め込まれた鍋を見て、妹の美結が目を輝かせる。
「美味しそう！」
「美味しいさ。日の光を目一杯浴びてるからね」
「いただきまーす」
最初にお箸を取ったのはお父さん。
「熱い！」
「ちゃんと冷まして食べな」
「早く言ってよー」
「言う前に猛が食べたんだ」
涙目になるお父さんと、愉快そうにそれをなだめるお母さん。
我が家は今日も賑やかだ。