私は、西野瞳。15歳。
ここ城北高校に通う一年生。
「あの!・・・西野さん」
何か特徴はと言われたら、特に何もない普通の高校生だけど・・・。
「俺・・・ずっと前から、西野さんのこと好きでした」
「・・・はあ」
靴箱で私を呼び止めた男子が言う。
私は、どうやら他人より顔を覚えられやすいみたいだ。
一目惚れしたとか、初めて会ったときからとか言う人がいるけど・・・きっと顔を覚えていたから、勘違いしちゃうんだ。
「あの、良かったら」
「お断りします」
暇さえあれば呼び出される毎日。
だいたい慣れてきた。
そして今日は杉崎に返事をしなきゃいけない。
バレー部の練習が始まる前じゃないと話せないから、急がなきゃ。
と言うわけで。
「じゃあ」
私は男子を置いて、バレー部の部室へと走った。
「杉崎!」
部室の前で名前を呼んでみる。
「・・・っ、西野?」
顔を赤くして出てきた杉崎は部活のTシャツ姿。
間に合ったみたいだ。
「あの・・・昨日の」
「あ。うん」
杉崎が照れたように笑って私を見る。
「ごめん・・・友達としか、見れない」
「・・・そっか」
「うん」
いつもと同じ言葉。
いつもと同じ反応。
「わざわざ言いに来てくれて、ありがとうな。・・・俺、友達でいてもいいかな?」
「うん」
私の返事に歯を見せて笑った杉崎。
確かに、爽やかイケメンって感じだ。
「じゃあ俺、部活だから」
「うん。頑張ってね」
杉崎はまた頬を赤くしながら、部室へ戻っていった。
・・・ため息が出る。
私は肩を落としながら、足早に帰路についた。