次の日、お母さんに送ってもらって学校まで来た。
お母さんも自分の職場である他の高校に行かなくちゃならないから、アタシはやむを得ずいつもより一時間も早く学校に着くことになってしまった。
だから、足は教室には向かない。
アタシはカズくんとの思い出が詰まった美術室に向かうことにした。
いつものように職員室で鍵を借り、いつものように美術室を開ける…
するとそこには今までのように、何もなかったかのようにたくさんの絵がアタシを迎えてくれる…
アタシはそう信じて疑わなかった。
 いざ美術室を開けるとそこにはもう、当然のことだけど文化祭の後影はなかった。
きっとみんな協力して片付けてくれたんだろうな…
アタシは頭の片隅でそんな風に思い、足を進めた。
そしてアタシはあの小さな部屋に向かった。
この美術室にある、アタシとカズくんの隠れ家…
アタシとカズくんが出会った場所…
たくさんの愛しい思い出が詰まったあの部屋に行けば何かが変わるかも知れない。
何か解決の糸口が見つかるかも知れない。
そしてまたアタシとカズくんが笑える日が来るかも知れない。
ほのかな期待を胸にアタシは小さな部屋を開けた。