アタシはすれ違う男の人に怯えながら、コンビにまで歩いた。
実際は本当にわずかな距離なんだけど、今日はすごく長く感じた。
歩いている道が、永遠に続くような気がした。
だからアタシはコンビニに着いたとき、ホッとして肩の力が抜けた。
 適当に買い物を済ませ、また家までを歩く。
だけど、なんだか気持ちがそわそわして落ち着かなくって、結局走って家まで帰ることになってしまった。
アタシはマンションのエレベーターを使おうとしたけど、丁度使用中だったから諦めて階段を駆け上がった。
 あれ…?
あそこってアタシの家だよね?
誰かがアタシの家のドアにもたれかかって座り込んでいる…
誰だろう?
すると突然その人は顔を上げた。
アタシはその人と目が合って驚いた。
それはカズくんだった…
心配してわざわざ来てくれたのかな…
「弥生!今日はどうしたんだよ?」
カズくんはニッコリ笑って立ち上がる。
アタシはそんなカズくんに愛想笑いさえできない。
それどころか、不本意にも体が震える。
「弥生…?」
カズくんがアタシに一歩近付くたびに、アタシは一歩後ずさりをする…
「どうしたんだよ…?」
アタシは首を横に振った。
ごめんね、カズくん…
アタシ、怖いの…
「イヤ、来ないで…!」
アタシはそう言い放って階段を駆け下りた。
カズくんはアタシの後を追う。
お願い、来ないで。
カズくんのことは大好きなの…
でも、イヤなの。
怖くて仕方ないよ…