全ての始まり。
それは、
私の恋が儚く散った瞬間だった。
「俺は、あんな地味女嫌いなんだよ!!!」
え...っ?
頭が真っ白になった。
その言葉を言ったのは、私の好きな人でもある、早川翔くんで。
人懐っこい笑顔が印象的で、明るくて誰からも好かれる男の子。
好きになる子は数多くいる。
私もその一人だった。
だけど...
「はぁ⁉︎ コイツ無理‼︎ もうちょっと明るくないとな! 俺、地味はお断りなんだよ‼︎」
必死に首を振りながら、早川くんの友達である斎藤くんと藍田くんにそう言う姿を見て、
やっぱり、そう思うよね...
そう改めて思い知らされる。
私が夢を見たらダメなんだ。
「ていうか、俺はこう可愛い子が好きなんだよな‼︎」
早川くんの言葉が、グサリと私に刺さる。
分かってる。
私が可愛くない事だって、分かってる。
自分で分かってるもん。
「だから、俺には眼中にもないわけで──ガタッ‼︎
追い打ちをかけるように聞こえる言葉。
それを遮るように、大きい音を出しながら椅子から立ち上がった。
「...っ...」
分かってる。
分かってるから...っ
歪み始める視界。
...泣きそう。
私は、溢れ出しそうになる気持ちを抑えながら、その場を駆け出した。
学校の廊下。
休憩中の生徒達が、友達と笑いあったり、馬鹿したり、そんな姿が目に入る。
私は、その横をすり抜けるように通り過ぎた。
そのまま走り続けると、目に入った階段を駆け上がる。
一刻も早く、誰もいない場所にいきたい。
その一心で、この踏み出す一歩を強くした。