「セツナ。」
「はい。」
後ろで三つ編みをし、
常に笑っているかの様な顔をした
帝国軍兼秘密警察組織少佐のセツナ。
シラヌイはセツナに四つの神器の一つが
見つかったと、里を抜ける道を指差し、
低く冷たい声で「追え」と言った。
・・・
土の匂いと鉄の様な匂いがする中、
亜鬼は里から少し離れた
森の中に倒れていた。
どれくらい寝ていたのかわからないが、
もう辺りは静かになっていて、
亜鬼は様子を見に里の方へ向かった。
「父さん…?」
帝国軍もいなくなっていて、
亜鬼は警戒しながら里を歩き回った。
お腹が空き、誰もいないのを確認すると
亜鬼は膝を落とした。
里のあちらこちらが燃えていて、
建物は崩れかけていたり、
建物の原形を保てていない物が多かった。
「父さん…!父さん!!!」
亜鬼は地面を思いっきり殴りつけると
声を押し殺して泣いた。
「父さん…」
すると、前から誰かがゆっくり歩いて来るのを見て、亜鬼は立ち上がって
怯えながらも警戒した。
そしてその人物は、
亜鬼を確認すると走って来た。
「亜鬼ー!」
「!?」
亜鬼の名を呼び暗闇から姿を現したのは
亜鬼がよく知っている人物だった。
「兄…さん?兄さん!!」
亜鬼は兄の姿を確認すると、
急いで兄の元に駆けて行き、
今までの事を話した。
「へぇ〜それは大変だったね。
でもお兄ちゃん“達”それで
シルバス帝国から報酬貰えるんだ♪」
「えっ…?」
亜鬼はゆっくり顔を上げ、
兄の顔を見ると、大きく目を見開いた。
和の服を中心に着るこの里とは対照的に、洋服を着て、
人を殺し返り血を浴びたのか
顔や服には血が飛び跳ねていた。