「行っちゃったね」


ニーナが言ったのに俺はうんうんと頷く。


そのまま学園に向かおうと歩めた俺は杖を取りだそうとし……、違和感。


「あ、あれっ?」


「リュウキ?」


「……」


俺の行動にニーナは首を傾げ、ロイドは眉を寄せじっと見る。


そんな二人とは裏腹に呆けた顔で、


「杖、がない…」


と言った事でニーナとロイドの顔色が変わった。


なんでだ?


今朝はあったのに……。


……あ"っ!


「レイから杖返してもらってねぇ!」


思い出した。


自分の力でやれよって事でお昼頃に取り上げられたんだ。


それっきり……。


「ロイドっ! お前の"風"でレイの居場所を探し当ててくれっ」


「断「頼むからっ」」


ロイドの近くまで来て必死に両手を合わせ頭を下げる。


「……分かったよ」


ロイドはハァと溜め息を付き、杖を取り出した。