「……何?」


「や、別に」


不満げな声をあげられたので俺は籠を手にする。


「……?」


あれ、軽い。


食材の量は変わってないのに、先程の重さがまるで嘘のようだ。


俺の様子に気付いたレイは空を見上る。


「……ェ………」


一言ボソリと何か言ったが聞き取れなかった。


視線を俺の方に戻し、


「ほらっ、さっさと歩くっ! いつまで経っても終わらないでしょ」


ポンッと肩を叩かれ数歩歩いて振り向き、


そこで一瞬、ほんの一瞬、


レイの近くに小さい白い何かが"飛んでいた"。


それはすぐに消えた。