〈side.Rei 〉

「……'風よ吹きし我が友人の元へ届けたまへ'」


皆が寝静まった夜、あたしは一人外へ。


たった今風で友人の元へ書いたばかりの手紙を送った。


明日の朝頃には友人は封を切るだろう。


「……はぁ」


頭上には満天の星空が。


そこには一際目立つ双月が浮かんでいる。


双月の名は、誰もが知っていて当たり前だ。


……常識だし。


キィトゥ・ムーンとミディアム・ムーン。


キィトゥ・ムーンは蒼い月、ミディアム・ムーンは紅い月。


その双月が月に一度重なる日がある。


「それまで後二ヶ月かな」


その日は特別な日であって、この世界の命運を分けるものだから。


……ま、あたしには関係無いもんね。


――ガサッ


「!?」


何かが草をかき分ける音が聞こえ、バッと振り向く。


――ニャアニャア


「なんだ、猫か」


ホッと一息ついた。