「……ちっ、だったらここで魔法を使おうと構わねーよなっ!!」


男の子の手には杖が、


「……ふわぁ、あらかじめに杖を取ればよかった」


女の子は欠伸をしながらボソリと呟き、


「レーちゃんに怒られるかも」


そう言って私に向ける視線は懇願が混じっていた。


私は女の子の手を掴み、


「わ、私も付いてってあげるっ! ……てか、レーちゃんって誰?」


「……? レーちゃんはレーちゃんだよぉ」


不思議そうにコテンと首を傾げる。


「だからそのレーちゃんって……じゃなくて、止めないと!」


「……ぁ」


同時に男の子を見たとき既に魔法を唱え終えて振り下ろそうとしているところだった。


杖の先から見える火の粉。


「……燃やすのだけはやめてっ!」


女の子が悲鳴に近い叫び声を上げ、


――ダダダダッ


「図書室は火気厳禁じゃああああっ!!!」


走ってくる人が怒鳴り声を響かせた。