「ニーナちゃん、ホント可愛いなぁ~」


くくくっと笑い声を噛み締めながら、男の子は私の髪を手で梳かし口づける。


「……や、やめてっ」


「やーだよっ」


余裕そうに私に恐怖をじわじわと刻みつけてくる。


……こんな目に遭うならあの時リュウキに付いてってもらえばよかった。


後悔しても遅いのに。


「ニーナちゃんにいつも付いてる兄は今蒼髪の女と話していたし、邪魔者は誰もいないし……」


髪を梳かしていた手が私の顎を掴み上に上げる。


まさかっ……!?


予感が的中した。


「……いやっ」


涙が流れ、体が震える。


もうダメだっ!


ギュッと目を瞑る。


――シュルルッ


……?


微かだが変な音が聞こえてきた。


それは男の子にも聞こえていたようで、


「何だ? ……う、うわあっ!」


疑問を浮かべた声のすぐに叫び声が……。