「じゃあ、今までに抑え込んでいた感情が爆発したとか?」


あたしが仮の憶測を言うと、


「そんな事無いっす!」


「そうだ! リーダーは優しいんだよ!」


周りにいる山賊達が次々と否定していく。


それをイバルさんは手を挙げて制した。


「すいません、今のは冗談です」


イバルさんはかなり"友好的"だということはすぐに分かった。


「イバルさん、ところでなんですけど…」


「なんだい?」


優しそうな笑みを浮かべ聞いてきた。


「数週間前に何か不審な"人物"に会いませんでした?」


「数週間前?」


考えて数秒、


「一人でいた時黒いローブを被った男に会ったな。 それで『お前の欲望を忠実にしてやろう』って意味不明な事を言われて……その後はさっき言った通りだ」


「……」


黒いローブの男の話ってこれで六回目だ。


……一体何者なんだろう。