「……もしかしたらあいつ……」


その一言によりフレイムはあたしから数歩離れて手を前に出し、


「……'火よあの者を燃やし尽くしたまえ'!」


手から出てきたいくつもの火が大男を襲う。


だが大男はメイジのはずなのに杖を取り出すどころか身を守ろうとする素振りを見せない。


突っ立ったまま。


そしてそのまま火に包まれるかと思われた。


……だが、


男の周りに貼られたシールドが火の威力を弱めた。


突然の事態にフレイムだけではなく他の精霊達、山賊達も顔色を変える。


「……やっぱり」


予感が的中しあたしはすぐさま着ていた上着を脱ぎ捨てた。


「みんなっ! "いつもの"やるよ!!」


「「「「「……」」」」」


「何ボケーッとしているんだ!」


半分切れかかった声で叫ぶと精霊達はハッとし、


「う、うんっ!」


「わかりましたわ!」


「了解ー」


「……ん」


「はぁい」



と答えていく。