「……ね、ねぇ…レイ、あの子に、な、んて言ったの?」


「ん? "注文は持ってこなくていい。 俺らで山賊達やっつけるから、残っている全員でバレないように逃げて"って」


あたしはコップの水を一口飲み、周りを見る。


ここには12人、山賊のリーダー格はいないようだ。


反族と平民は半々。


「……余裕」


誰にも聞こえないように呟いた。


あちこちからの上品とは言えない笑い声が頭に響く。


「……あ」


そこでウェンディが口を抑え、上を見ている。


同時に肩に重みが。


「……よぉにぃちゃん。 なかなかいい顔立ちしてるじゃねぇか」


見ると酒瓶片手にニヤニヤしているおっさんが。


……酒臭っ!


とりあえず無視しておく。


――ギリッ


「無視はよくねぇんじゃねぇか?」


今の行動が癪にさわったらしい。


あたしの肩に置いている手に力を込めてきた。