「あたし、二度と同じ目には合わせたくないんだよ。 心に深く残ってしまう後悔とかさ残したくないんだ」
両手で顔を押さえるレイは苦しそうだ。
「俺達でなんとかできないか?」
「……時と場合の見方によって、励ましが見せつけになってしまう」
「ますます、彼女を落ち込ませてしまうんじゃないかって?」
顔を押さえたままレイが頷いた。
誰もが言葉を紡ぎ、沈黙が続いた。
「――……ハァ」
それを破ったのはロイドの溜め息。
「要は、イリーガル嬢の諦めを断ち切ればいいんだろう?」
「「「「……え?」」」」
俺らはロイドに注目する。
「近いうちに何か催しがあるだろう。 その時に……」
「……あっ!」
急に大声を出してレイは立ち上がった。
「そっか。 その手があったか」
思い付いたかのようにニッと笑みを浮かべた。
何なのかは俺は分からない。