「俺が余所見していたからだ。 怪我はないか?」 「だ、大丈夫です。 あのっ……手が」 「……あ」 掴んだままの手を離した。 「すまない。 気をつけろよ」 苦手意識を持っているなら負担はかけないようにしなければな。 すぐにその場を離れた。 「……あれ、手が震えてない」 その呟きが俺の耳に届く事はなかった。 +++++