脇腹をさすりながら周りを見回しながら移動する。


「ロイド君、付き添おうか?」


「一人で大丈夫だ」


ナルシスの心配を振り切り歩き出す。


――トンッ


「「!」」


身体に軽い衝撃。


誰かとぶつかってしまったんだと気づく。


俺は大丈夫だが相手の方がバランスを崩したようだ。


――パシッ


とっさに手を掴んだ。


相手は女で長い蜂蜜色の髪が揺らぐ。


……この髪色。


「す…すみません、余所見してしまいまして……」


オドオドと目の前の少女が言った。


教室の窓から見てたご令嬢殿。


俺が今まで見てきた中では、お家自慢をしてやけにでしゃばった奴らだった。


だが、目の前にいるご令嬢は何かに怯えている様子が見える。


……レイが言ってた意味が分かった。


"異性に苦手意識を持っている"


今更ながら気づくなんて……。