「いってぇ……」
頭を押さえて唸り、少ししてから立ち上がる。
「……」
「カンがいいはずのレイが気付かないほど思い悩んでたんだな」
「……え?」
ロイドが呆れながらリュウキに近付く。
「俺は会場に戻る。 後は二人で話をしろ」
リュウキの肩を叩き、ロイドはヒラリと手を振って来た道を戻っていった。
「……」
「……」
いつもなら、話しかけられるのに。
聞かれたんだ、今の。
数分前に戻りたいな。
顔を横に逸らしかけたが、リュウキの変化に気づいた。
「髪…どうしたの?」
肩につくくらいの長さから短くなった気がする。
前髪も横髪も。
「ん、あぁ…切ったんだよ。 気分転換に」
自分の髪を触りながらリュウキが答えた。
「そうなんだ。 短いのも似合ってるよ」
「!」
あれ、あたし変な事言ったかな?
動きが止まったリュウキに首を傾げた。
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