「ちょっ…ロイド!」


聞こえているハズなのに無視しているようで、ずんずんと歩いていく。


こっちはドレスなのに!


やっと止まったかと思ったらそこは誰もいない広場だった。


会場の明かりが見えるがぼやけてロイドの表情が分からない。


あたしは一本だけ植えられていた太い木の幹に押さえられた。


「ロ…ロイド?」


顔の真横で木に両手をつける体制、顔の距離が近い気がする。


「……本音を包み隠さずにぶちまけて貰おうか?」


「!?」


あまりの剣幕に身体が硬直した。


「お前はリュウキに対してどう思ってんだ。 答えろ!」


――ドキッ


不意に胸が高まった。


「えっ…と、とりあえず離れて?」


「断る」


離れるどころか肘までつけてますます距離が近くなった。


顔を横に逸らした。


目を合わせたら、とんでもない事態になりそうな気がした。