〈side. Rei 〉
……間違いない。
あの背丈、後ろ姿、栗色の髪。
それであたしの目を欺けると思うな。
前を走る女子生徒に向けて手を翳した。
「ふぎゃあ!!」
女子生徒は地面にのめり込むように倒れた。
足に草が絡みついている。
彼女には悪いけど森の霊力を使わせてもらった。
「……よく国王様が許してくれたね。 "マリーヌ"」
「わ、私はマリーヌでは、あ、ありません!」
髪を桃色のリボンで後ろに纏めて、メガネをかけている。
「隙あり!」
「あ!」
隙を見てリボンとメガネと取った。
「~~っ、仕方ないじゃないのよ! ダァチがこの学園にいるんだもの」
観念したようで、マリーヌが洗いざらい話し出した。
……って、ダァチ絡みかい。
「何になっているわけ? 教師…な訳ないか」
ここだと、料理人かな?
図書室の司書もあるか。
「ん」
ふてくされ、向こうに指を指した。
あたしはその方向を向いて固まった。