「イリーガル家の長男だったな。 あたしが小さかった頃に国に来てはマリーヌと遊んでもらったんだよね」


外を見て微笑むレイを見て、なぜか胸が苦しくなった。


「……ん?」


それは一瞬の事で張り付くように顔を近づける。


「レイちゃん、どうしたの?」


「……なんか、見覚えのある人影を見たんだけど」


そういうや否やレイは魔法書を開いて唱えた。


「モーメント・ムーブ!」


「「「「!?」」」」


俺らが驚く中、レイの身体が外に移動した。


いきなり上空から降りてきたレイを見て驚いた声を上げる新入生達。


それを気にせずにレイの走り出した。


方向は裏庭。


「……追いかけるか?」


「時間が…無い」


「「……」」


俺らはレイが戻ってくるまで待つ事にした。