「学園長の話によると今年の新入生はお偉いさんのご子息ご令嬢が多いんだって」


「レイもお偉いさんに値するんじゃないか?」


「あたしはいいの。 ……ほら、あれ見てよ」


レイは窓際に移動して来るように促した。


「! あれはセイラン家、そっちはイルビ家」


「……伯爵や子爵に値する地位だね」


次々と家柄を当てていくロイドに外を見て顔をひきつらせるナルシス。


「……一番やっかいな侯爵家のご令嬢もいるぞ」


無意識に眉を寄せた。


「あれってイリーガル家、だよね?」


ニーナが指さした先は、護衛を集団を連れて歩く少女。


見事な蜂蜜色の巻き毛を揺らして、フリルのついたリボンをなびかせている。


「イリーガル? あぁ、ノースト国では大臣の役職についているらしいね」


レイが何か思い出したような顔をした。


その表情は懐かしそうだった。