「ジュリア! サラサが乗ってるから、早くしろ」


「うえー」


ソールがジュリア様を引きずるように離れた所にある馬車に押し込んだ。


――バシンッ


前に乗っている人が馬に鞭を振るい、前進させる。


「待ったねー!」


ジュリア様の窓から身を乗り出して手を振った。


中からサラサ様とソールの止める声が聞こえてきたが次第に聞こえなくなった。


「ジュリアは元気で羨ましいわー」


棒読みで話し、振り返していた手を下ろした。


「先に入っているわ」


マリーヌを先頭に続いてニーナとナルシスが乗ろうとしているが、


「ニーナちゃん、足元に気をつけて」


「うん!」


見ない内に二人の仲が深くなっているような気がする。


「……何があったんだ」


「さぁな」


ロイドは続いて中に入っていく。


「僕は荷馬車を動かすから」


ダァチさんは馬車には乗らないようだ。