〈side. Ryuki 〉
――――……
「レイッ!」
大臣が載せられた馬車を見送っているレイの背に声をかけた。
「……あぁ、話は着いたから安心していいよ」
振り返ったレイの口元は笑っているが、目が完全に俺らから逸らされていた。
暗闇だから気のせいだろうが顔が赤らんでいるように見える。
「「……」」
なぜなのか分かったニーナとロイドは気まずそうにレイ同様視線を逸らしていた。
ただ何も知らないナルシスだけは首をかしげている。
三人よりは一番気まずいのは俺だ。
「……あ、ありがとね。 リュウキが着てた"上着"なのね」
ぎこちない動作で俺に返そうとつる。
それを受け取ったが着る気にはなれなかった。
「あらあら、レイも乙女なのね」
「リュウキ君なら任せられそうな気がするよ」
遠くでアリアさんとレオンさんがひそひそと話しているつもりだ。
その表情から楽しそうに見える。