国王陛下がいない中で発言力が強いのは姫。


「確かそうだったな。 おらっ、言えよっ!」


「いっ!」


ナイフに力が入り、レミリアの細い首から血が流れた。


騒然となる会場。


魔法が使えない今、霊力が良いが、唱えるよりも早くナイフが深く入ってしまうだろう。


ギリッと歯を鳴らした。








――コツッ…コツッ


ふと、ステージ裏から聞こえてきた靴の音。


人数は二人で憶測で大人だと思う。


「大事な妹の子どもに刃を向けるだなんて、随分と上からなのね」


「キミは有能だから、期待してたのに…ガッカリだよ」


男女の声。


忘れるはずのなく、懐かしさを胸の中に募っていく。


「……会いに行けなくてすまなかった」


「昔の私に似て短い髪もなかなか似合っているわよ」


「……父様……母様」


これ以上の言葉がでずにだんだんと息苦しくなってくる。