振るってきた剣を横にかわし、飛び越える。
「ソール、覚悟!」
どうやら狙いをまずはソールにしたらしい。
「……チッ」
舌打ちし、右手の鉤爪がレイの腹部に伸びようのしていた。
「っと」
すぐさま後ろに倒立しながら距離を取った。
「隙ありっ!」
レイの背中を切り裂くようにダァチさんが剣を振おうとしている。
……それよりもレイが唱えるのが早かった。
「初級の段、トルネード!」
レイの足元から風が周り、一気に大きくなる。
レイの間近に迫っていたダァチさんとソールが上空に飛ばされた。
「二人なら、あの高さから着地は余裕でしょ? 後はロイドだ…けっ!?」
魔法書を閉じ、ニコニコ笑っているレイの横を何かが通った。
それが何度も何度も何度も……。
「ちょっ、ま、まぁ!」
レイは血相を変えてロイドに背を向けて走り出した。