――ガキンッ
「「!!」」
黒剣が足元に転がってきた。
「……やっちゃった」
右腕から流れる血を押さえている。
ギレルにも傷ついて微かに横に揺れている。
お互いに限界は近いけどアレンさんの方がピンチに近い。
魔法を放つなら今しかない。
「……上級の段」
ギレルの前足がアレンさんの胴を裂こうと伸びた。
「アイス・ニードル・ピック!!」
――ザザザッ
針山がギレルの身体全体を貫いた。
‘ギャアアアアッ!!’
獣の口から人間の悲鳴が上がった。
一本の針の長さは約10メートル。
それがビッシリとしかも全身の皮膚を貫き…正直、痛いの範囲ではすまないかもしれない。
「レイ…私を巻き込む気だったのかい?」
間一髪で後方に跳び、攻撃避けたアレンさんはフラフラした足取りで歩いてきた。
これ、近くにいる人巻き込んじゃうんだよね。