黒い獣となったギレルは高い位置にある岩場に飛び乗った。
「姿が変わってからすばしっこいのぅ」
「……魔法唱える間に場所動きますよね」
上級の段、最上級の段は限りがある。
できるだけ控えたいけど中級の段より下だと効かないかもしれない。
だったら中級の合同魔法か、または霊力か……。
「ここは私に任せてもらおうか」
と、剣を片手に歩き出すアレンさん。
「承知ですか? ダァチは魔法、霊力が使えないんです! 生身で向かうのは危険で「そうかな?」」
「!」
ダァチの身体を借りてこの場にいるアレンさん。
アレンさんの周りに漂うのは…霊力?
「私だってかつては水と風の霊力を得意としてたんだ。 ダァチ君は貴族でなくても魔力とかの反応に敏感だったんだろ?」
――ピキッ
「……使う才能はあると思うんだ」
剣が氷に覆われていく。