〈side. Ryuki 〉
「――……暗雲が増え始めている?」
王宮から脱出し、捕まっていた召使いの案内により丘を越えている。
ふと蒼空を見上げるとさっきまで快晴だったハズなのに、雲が覆い始めていた。
尋常じゃないくらいの速さだ。
「リュウキさん! もう少し歩けば着きます!」
独りの衛兵とナルシスを担いでいる人がこちらを見て叫んだ。
(ロイドも二人の衛兵に担がれて少し前を歩いている)
「あの…どこに向かっているのですか?」
俺が聞くと後ろから歩いてきたカルロさんが答えた。
「今から向かう所にある家に行きます」
それだけ言って、カルロさんは俺らを追い越していった。
「こんな、何もない所に家なんかあるのか?」
ポソリと言ったのか誰にも聞かれていなかった。
木も花もない緑の草原だけが広がっている。
と、遥か遠くにポツンと家が一軒建っていたのを見つけた。