〈side. Mari-nu〉
「久しぶりねマリーヌ」
「そだね、サラサ。 胸元直しな?」
レイの手紙を見てからの次の日。
目の前では燃えるような赤い長髪を持つ美女が長椅子に座っていた。
質素なワンピースに身を包んだサラサの横には銀髪の少年が立っている。
おそらくここに来るまでは寝ていたのだろう、
サラサが着ている上着のボタンが外れていて豊かな谷間がのぞいている。
「あ、あらやだ」
サラサはカァッと赤らめながらボタンを留めていった。
あたしはそのスキに銀髪の少年の肩を掴みサラサから背を向ける。
「ソール! あんた何で言わないのよっ!」
コソリと彼に耳打ちすると、
「お前もわかるだろ、"私帰る"と言い出すぞ」
「!」
ソールの言った通りだ。
前一回ソールが気づいて言った所サラサが泣きながら来た道を引き返した事がある。
目的地まで後1キロ先の時だった。