〈side.Ryuki 〉
「……誰もいないね」
「そうだな」
静かになった教室に残っている俺ら兄妹。
「リュウキ、私らも行こうよ!」
シャツの裾をくいくい引っ張りながらニーナは言ってきた。
その仕草が我が妹ながら可愛い。
ロイド程ではないが俺は目つきが鋭い。
対してニーナはぱっちりした丸い目。
周りの男がほっとかなかったから去年は大変だったなー。
休み時間になると追い掛け回され、
散々怖い目に遭って……。
今は俺が四六時中側にいるから何とかなるがな。
……例外はあるけど。
「……リュウキ?」
「ん、あ、いや…悪いボーッとした」
「珍しいね」
ニーナはニコーと笑った。
……俺は耐えられるだろうか。
癒し系の妹に将来相手ができてしまったら……。
「……っ」
泣きそうになった。
突然の事にニーナが驚くのは無理もない。