その中でテラスに行ける窓際の近くに大きなベッドが置かれている。
その近くに"あの方"はいた。
ドクンッと胸が高まる。
あの方はいつも黒いローブに身を包み、素顔が分からない。
今、素顔を見せた美しい横顔が双月に照らさせている。
漆黒の長髪に映える白い肌、切れ長の黒の瞳。
ワタシは初めてあったあの方に心を奪われた。
「……声をかけてくれたらよかったのに」
「っ!!」
気づいていたのかあの方はワタシを見てニコリと笑った。
カァッと顔が赤くなったのが分かる。
「だ、だって、あなたの横顔がとても美しかったから」
あの方の前で言葉を噛んでしまい、両手で頬を押さえる。
あの方は笑ったままワタシの手を引き、ベッドに押し付け、覆い被さってきた。
そこから始まる口付けの嵐。