「な、何でもないわ! ちょっと暑かっただけよ」
前を向くと廊下が三つに分かれている。
前、行ったときはーの感覚で右に曲がろうと方向を転換した。
「――……マリーヌ、どこに行くの?」
背を向けた側から声が聞こえた。
「レミリア! ……前行ったときはこっちじゃなかった?」
「あぁ、数ヶ月前に部屋を変えたのよ。 スージーに案内を頼んだハズなんだけど」
名をあげた人がこの場にはいなく不審の目で見られた。
「すみませんね。 ダァチが言い合いをしてしまいましてね」
「……」
まさかダァチがスージーの目に髪留めをあてたとは言えない。
レミリアは聞いてきたのに興味がなさそうだ。
「ダァチ、強いのね。 ワタクシの国に欲しいわ」
上目遣いでダァチを見上げる。
「ダメッ!」
あたしはダァチの前に立ってレミリアを睨みつけた。